
前回まではこちら
彼女と話していて分かったこと。
彼女の名前:サニー
好きなもの:家族
趣味:無し
娼婦になった理由:妹の大学費用を払うため、自分は学校に行けなかったから妹には偉い人になれる道を作りたい
上記、内容を聞いて私はこう思った。
「嘘だな。」
そんな聖母のような人間見たこともないし、第一その派手な格好の娼婦に言われても一切信用できない。
まあ、いい。単なる金で買った旅の道具なのだから。
サニーに安いタクシーを止めろと命令し、ホテルの近くに到着。
行きも交渉して安く乗ったつもりだったが、日本円にして1000円ほど行きと帰りに差額があった。
サニーに「ご飯を食べよう」と言われ、現地の人間しか居ないような汚くて臭い露店に着座した。
注文は任せてとの事だったので待っていると、とんでもない量の料理と酒が次々に運ばれてきた。

「人の金だと思って滅茶苦茶しやがって!」と思いつつ、実食。
ん~、中には不味い料理もあり総合的には普通。
サニーは楽しそうに食べ方をレクチャーしてくれたりしていたが、私は会計が心配で愛想笑い程度だった。
そして会計へ。日本円で計600円だった。
もう安すぎて内訳がわからない。
旅行前に調べたときは、日本の3分の1の物価と書いていたが、10分の1ではないか。
そのまま、一緒にホテルに向かった。
向かっている道中、コンビニに入り水やスナックを購入。
急にレジでサニーが指さした。

その先にはコンドームが置いてあり、私の手を取り胸に押し当ててきた。
「あなたなら1000バーツ(当時3000円)で良い」
レジ定員、私の後ろに並んでいる客が私を真顔で見ている。
どういう感情なのだろう、そしてサニーはどういうつもりなんだろう。
サニーの手を振りほどき会計を済ませ足早に店を出た。
その後も手を握って来たり、全裸写真を見せてきたりと必死さが増していた。

そうこうしてるうちにホテルに到着。
部屋に入ろうとしても鍵がかかっており扉が開かない。
ドンドン叩いていると、寝ぼけた友人が扉を開けた。
入ろうとすると「こいつ買ったの?」とサニーを見て言った。
そろそろお気づきだろうが、私も友人も日本の中でも有数のクズなのである。
「こいつガイドだから」と伝え、私はソファで寝た。
サニーも私のそっけなさに流石に諦めたのかベッドで寝た。
昼間に起き、友人を起こして寝ているサニーについて説明した。
友人は昨晩、私と別れた後、男数名に囲まれ「カツアゲされた」のだと言う。「恐らく、クラブで連れて出た娼婦もグル」だと言っていた。
タイに来てロクなことがない友人は、この旅のガイドを心強いと喜んだ。
そして、サニーがいることによる金銭的メリットをフルで活用しようという話になった。

話しているとサニーが起きた。
友人はサニーと初対話、英語で色々話している。
サニーは、学校には行っていないがプロの娼婦として英語を自然に習得したのだと推測された。
サニーが「シャワーを浴びに一旦帰りたい。あなた達もついてきて」と言った。
タクシーの道中、サニーに「観光客のいない高級レストランに連れて行って」とお願い。
サニーは嬉しそうに快諾した。
一旦、サニーの家に着いた。

部屋にお邪魔させてもらうと、割と整理されていて普通の女の子の部屋という感じだった。
サニーは「時間がかかるから、お店で待っていて」と私たちを連れて近所の高級レストランに行き、また家に帰っていった。

とりあえず、ビールを注文。グラスに水を入れて凍らしているのか?ビールは気持ち薄かった。
待つこと数十分、サニーが戻ってきた。
そして、私達が食べたいものやサニーのおすすめなど色々と注文。

私は、カオパット(タイ風チャーハン)を注文し、友人はトムヤムクンを注文。
サニーが頼んだものは、ティラピアの素揚げ乾燥ハーブ乗せ、豚のから揚げ、ラープムー(豚ひき肉とミントのサラダ)である。
皆でシェアして食べた。
サニーが頼んだ料理はどれも美味しかった。

特にティラピアは見た目こそ悪いものの淡白で臭みもなく、乾燥ハーブが良いアクセントで絶品であった。
会計は、日本円で4000円弱。ビール瓶も何本も頼んでおり、3人でこの値段は破格の安さだが現地の金銭感覚に慣れつつあった私は高いと思ってしまっていた。
次の行き先は、ショッピングモールを選択。

サニーは、ショッピングモールにつくと靴屋の前で立ち止まり一つのサンダルを眺めていた。
値札には25バーツ(当時750円)と書かれている。
私は友人に「欲しいのかな?」と聞いたが、友人は「どーせ、ねだる気だろ」と一蹴り。
サニーの肩を私が叩くと「sorry!」とスタスタ先を歩く友人の所まで小走りで行った。
もし、ねだってきたら「NO!」と答えていた私だったが、まったくそんな気のない彼女の背中を見て、私はそのサンダルを購入した。
私も追いつき、そのサンダルをサニーに渡すと大喜びで履いていたボロボロのサンダルをごみ箱に捨て履き替えた。

私が小学生の頃、新しい靴を買ってもらって嬉しくて、その場ですぐ履き替えたことを思い出すような素振りだった。
その後、いろんな店を巡っている最中、事件は起きた。
サニーが友人に何か言っていて、友人は暗い表情をしている。
話を聞くと「今日、明日のガイド代計3000バーツ(当時9000円)が今欲しい」と言った。
私は内心、「ついに本性見せやがった」と思った。
友人も同じ感情なのはすぐわかった。
「どうする?ここで走って撒くか?」「さすがに可哀想」「理由を聞いて判断しよう」と友人と話し合いサニーに訳を聞いた。
サニーはショッピングモールのATMを指さした。「妹の学費2000バーツ(当時6000円)を振り込みたい」とのこと。
私はそれを聞いて、「ならあと1000バーツ(当時3000円)は明日な。」と伝えて学費代2000バーツ(当時6000円)のみ手渡した。
今考えると「全部渡してやれよ。」と思うが、あの時は何も信じられない精神状態だったのだろう。
サニーは、ATMに走り支払いを済ませ明細を見せてきたが何も読めなかった。
その後は、欲しいものがある度にサニーにディスカウントさせて楽しんだ。

服や小物いろいろ買って最後はショッピングモールでご飯を食べて帰った。
だが、私達はサニーに飽きていた。
買い物やご飯はサニーが居るだけで安くなるので価値がある。
しかし、異国の地で仲良し男二人旅には少し邪魔だった。
「今日妹が遊びに来るから帰って良い?」とサニーから言ってきた。
OKし、次の日の待ち合わせをして別れた。
次回へ続く・・・【旅行】微笑みの国 inタイ part4最終回 さよならサニー編
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